今更ではありますが、AppleがiPhone15シリーズを発表し、新しいApple Watchも発表しました。
これはどういう方向性をAppleが示したのかガジェット視点から見ていきたいと思います。
先に説明しておくとiPhone15やApple Watchの今回の機能やおすすめを紹介するものではなく、筆者が感じた製品発表におけるガジェット視点を中心に説明します。
iPhone15やWatchの詳細を知りたい方や検討されている方は他のYoutuberさんなどを参考にして下さい。
Appleエコシステムとは
まずはここから解説します。
エコシステムとは環境に優しいではなく、簡単に言うと「製品の囲い込み」になります。
どう言うこと?と思われるかも知れませんが、Apple製品を複数利用されている方はこの恩恵を受けていることが多いでしょう。
まず、製品開発をして世に出してヒットしたとしましょう。
確かにそれ自身は素晴らしいですが、継続して利用頂くには難しいのです。
これは最先端テクノロジーは年月が経過してくると陳腐化し、他社からも似たような製品やそれを超えるテクノロジーが出てくるためです。
そのため、テック企業は自社製品を長く利用頂くにはどうすれば良いかを考えるわけです。
これを実現するためにエコシステムを形成するわけですが、Appleは具体的にどうしているかというと以下のような方法で囲い込みを行っています。
製品とサービスによる連携
製品の連携
これは簡単でiPhoneを中心として各機器と連携します。
機器 | 用途 |
Watch | ヘルス、通知、決済、単体での無線通信 |
iPad | タブレット、PCとの隙間 |
Mac | PC、iPhoneの管理元 |
AirPods、HomePod | 音楽 |
Vision Pro | 仮想現実と今後の新提案デバイス? |
TV | ストリーミング配信 |
こういった製品群でAppleはiPhoneを中心として連携を行い利用ユーザにはiPhoneを使うと様々な価値をもたらすことができます。
一つ一つだけでも意味はありますが、iPhoneと連携するとさらに利用価値が向上します。
具体的な部分としてはAirPodsで音楽単体を聴くことはできません、iPhoneやiPad、Macがあってこそ真価を発揮するわけです。
しかも、AirPodsProであればシームレスに接続でき、iCloudでアカウントが紐付けされていると再生されている機器があれば自動的に切り替わります。
iPhone→Macで音楽を聴いていると自動的にMacへ接続が切り替わります。
これがAppleエコシステムの恩恵です。
では、サービスではどういうことが起こるのでしょうか?
サービスでの連携
これはもう皆さんご理解の通り「iCloud」となります。
なーんだ、そんなの知ってるよ!というお話なのですが、実はこのiCloudがAppleにとって最大の収益をもたらしているのです。
いやいや、iCloud無料でしょ?と思われますが、確かにiCloud単体は無料で提供しています(5GBまで)
しかし、この無料が実はAppleの戦略なのです。
iPhone単体で利用していても確かにiCloudは便利なのですが、シームレスに他の機器と連携するためにはiCloudは必要なのです。
先ほどの説明でもAirPodsでの音楽連携を記載しましたが、これもiCloudがないと実現できません。
なぜなら、自身が使用している機器が何かを特定するためにiCloudで機器を連携しているためなのです。
じゃ、無料でできているから別によくない?と思われますが、ここからがなかなか凄いと言わざるとえない戦略です。
iPhoneを中心に考えた場合、最近ではPCを持たない層もいると思います。
iPhoneで完結するから必要ないという考え方ですね。これはその通りなのですが、一番の問題があるのです。
iPhoneのデータをバックアップするにはどうするか?と言う問題があります。
外付けのHDDなどに接続してバックアップすることも可能ですが、非常に面倒かつシームレスではありません。
じゃ、iCloudでどう?と言う提案があります。これはなぜ便利かというと「物理的なケーブル接続」と言う行動が不要です。
また、インターネットに接続できる環境があればバックアップを取れるわけですし、2台目のiPhone(サブ)やiPadにもデータを共有できるわけです。
そうなると5GBでは足りないので、大容量の契約になるわけです。
そして、音楽も聞きたい、動画もみたい、家族で共有したいとなれば、AppleOneの出番です。
複数アカウントでAll in Oneなわけです。
こうなるとますますAppleから離れられなくなるし、家族全員がAppleで囲い込みができてしまうのです。
恐ろしいですねー!
無料で提供して便利と一度知ってしまうとどっぷりハマって、抜け出せなくなり有料に移行するという戦略と、他の製品群と紐付けすることで最大限の価値を提供する。
これがまさにAppleのエコシステムの戦略なのです。
iPhone15とAppleWatchの新製品にみる戦略
今回一番の連携はApple Vision Proとの連携を見据えていることだと筆者は感じました。
Apple Vision Proは米国で来年初旬から販売開始です。(日本では未定ですが24年後半?)
と言うのも、iPhone15 ProかPro MAXではVision Pro用の空間ビデオを撮影ができると言うことを発表しました。

つまり、事前に撮影できるのはiPhone15 ProとPro MAXになるわけですが、先に撮影しておけばいざ発売されて体験することがいち早くできるわけです。
体験とログは非常に大事でして、あの時のあの瞬間というのは後で撮るということはできません。
こういったものを先に蓄積することができるから、みんな先に提供するよということなのでしょう。
そして、AppleWatchではSeries9とUltra2でしかダブルタップを提供しません。
これはS9 SiPによる処理が可能にした技術だからです。(これから未来に発売されるモデルは標準で実装されると思いますが・・・)
Appleの公式ホームページでもSeires8以前では対応していないことが明確になっています。


ダブルタップとApple Vision Proの関係ってどういうこと?と思われますが、Apple Vision Proは目の動き(トレース)を使い認識するのですが、筆者としても「いやいや、これ限界あるし、手はどうするの?」という疑問がありました。
PS5におけるVR2でも手にはやはり認識するためのデバイスが必要になるわけです。

今回はそれをダブルタップで実現できるようにもってきたわけですから、これは凄いと思いました。
デバイスがないというのは非常にスマートですし、扱いが楽です。


Vision Proの発表時にはApple Watchを装着していなかったのですが、まさかのここでの伏線回収のようです。
いやはや、さすがとしか言いようがないわけで、これまたApple Watchがあるとかなり楽にVision Proが扱えるということになりそうです。
iPhone15ProシリーズとApple Watchは買いなのか?
Vision Proを検討しているユーザは買いと考えて間違い無いでしょう。
筆者はVisionProはまだ悩んでいるところですが、おそらくこれまでのデバイスとは異なるアプローチであることはわかっているので、体験できればまた世界が変わるのかもしれません。
また、Apple エコシステムにどっぷりな方は追いかけてもらうためにも新製品を購入するのはアリでしょう。
iPhone15無印も今回はiPhone14 Proと同じような機能を持ち順当に進化しています。こちらも間違いなく買いであることは確かなのですが、Appleエコシステムの恩恵を最大限受けるにはProシリーズを購入しなさいよというAppleからのメッセージなのかも知れませんね。