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テスラはなぜ高速道路上のSA/PAにスーパーチャージャーを設置できないのか?

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テスラユーザーの皆様なら疑問に思うことであろう高速道路上のSA/PAにおいて、なぜスーパーチャージャーが設置できないのかを筆者目線で解説していきたいと思います。

高速道路の急速充電器について

2025年5月1日現在において、高速道路上にあるSA/PAではe-MobilityPowerが設置している急速充電器しかありません。
これはCHAdeMO規格の急速充電器になっており、最高出力は150kWになります。
(場所によっては、30kW程度のものもあります)

テスラ車の場合、CHAdeMOで充電を行う場合、変換アダプタを接続することで50kWまで対応しています。従って150kW充電器でも50kWまでしか電力を受け入れることができません。

これでは、テスラ車として非効率でありスーパーチャージャーを設置して欲しいと願うのもよくわかります。

では、なぜスーパーチャージャーが設置できないのか確認していきましょう。

15年前は充電プロバイダーがいなかった

高速道路上のSA/PAに急速充電器が設置され始めたのは約15年前まで遡ります。

これは日産リーフが販売された2010年になり、この年から電気自動車の量産が開始されます。

NEXCO東日本のHPを見ると2009年に初めて急速充電器を一般に利用できるようプレスリリースが発表されています。

電気自動車(EV)の普及促進に向け、急速充電器を新設 | NEXCO東日本
NEXCO東日本からのプレスリリースです。「電気自動車(EV)の普及促進に向け、急速充電器を新設」。【NEXCO東日本オフィシャルサイト】NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)は関東以北、長野、新潟から北海道までの高速道路を管理しています。

このように始まったわけですが、当時はJCN(ジャパンチャージネットワーク)eMPの前身の会社が始めて運営を開始しています。

もちろんこの頃にはテスラは日本に来ていませんので、JCNだけとなります。

NEXCOの考え方としては、全国のあまねく場所に急速充電器を設置できる充電プロバイダーと手を組んで広げていくという思想のもと運営が開始されたと言えます。

なぜ高速道路上に急速充電器が設置できないのか

現在では充電プロバイダーとして、eMP以外にもENEOS、プラゴ、テスラなど様々な会社ができました。

ただ、現在でもeMPしか設置ができていのが現状です。

これは公正取引委員会も独占禁止法にあたるのではないかと言われていますが、実はそうではないのが実情なのです。

公正取引委員会が発表したレポート見ると実に興味深い一文があります。

全文は下記ページより参照ください。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jul/chouseika/houkokusyo.pdf

上記の通り、参入はしたいが需要の少ない場所には設置したくないという理由から、参入は困難だと言っているわけです。

eMPの場合、需要が少ないところでもNEXCOと協業しあまねく場所へ急速充電器を設置・運営し、EV利用ユーザーへサービスを提供しています。

しかし、各充電プロバイダーは需要が少ないところは設置したくないと断っているため、NEXCOとしては受け入れられないということで、協業関係まで結びつかないのが現状です。

このことから、公正取引委員会も独占禁止法には引っかからず、参入できないなら仕方ないと結論づけているわけです。

急速充電器はインフラの役割である限り、あまねく設置されるべきであり、これを断るということは充電プロバイダーとして採算が取れないというのが現状なのでしょう。

仮に設置できたとしても?

では、テスラがスーパーチャージャーをあまねく設置するので参入すると仮定した場合どうでしょうか。

ここは想像になりますが、どうなるか記載していきたいと思います。

誰のためのスーパーチャージャー?

NEXCOの考え方としては誰でも利用できる急速充電器を想定しています。

現在日本で展開しているスーパーチャージャーはテスラ車以外は利用できません。つまり誰でもではありません。
これでは誰でもという条件を満たしておらず、CHAdeMOユーザーから不満が出ることでしょう。

いやいや、テスラ車が使えるんだから、CHAdeMOの充電器も空いてくるから問題ないのでは?と考える方もいるかもしれません。

実はそうでもないかもしれません。なぜならテスラユーザーはCHAdeMO変換アダプタを使うことで、スーパーチャージャーが全台充電中だった場合、CHAdeMOの充電器まで利用する可能性があります。

こうなるとCHAdeMOユーザーからすると、なぜスーパーチャージャーがあるのにCHAdeMOの急速充電器を使うのか?と問題視することになります。

これはマナーとはまた別の問題が発生し、CHAdeMOユーザーまで不利益が出てしまうという構図になってしまいます。

このようにスーパーチャージャーを設置したから解決という問題とはまた別で対策を考えないといけなくなり、頭を悩ませる要因になりそうです。

設置場所の確保

テスラのスーパーチャージャーは1箇所に4基以上のストロークが設置されることがほとんどです。

そうなるとSA/PAの駐車スペースを考える必要があり、今でも駐車スペースに問題を抱えているSA/PAの現状を考えると悩ましいところです。

ただ、今後は電気自動車も増えてくるため場所の確保でNEXCOも何かしら対策は考えると思います。

費用負担の考え方

CHAdeMOと異なり、スーパーチャージャーはテスラ車単独で対応しており、設置費用負担の観点からどうするか考える必要がありそうです。
日本では国からの補助金を受けず急速充電器を設置されているため、特に縛りはありませんが今後高速道路上のSA/PAに設置する場合も補助金は使わない場合、テスラ社だけの判断で対応可能かも確認が必要になると考えられます。

というのも、高速道路上はあまねく人へ提供するという基本方針があるので、テスラ車だけ提供というのはOKになりにくいように思います。

今後の急速充電器の拡充

これからも充電器は増えていくと思いますが、やはり公共的なところへの設置はハードルが高いと考えられます。

アメリカではNACSを標準規格として動き始めており、スーパーチャージャーを他社にも開放され始めていますが、日本でも同じ動きになるか注目でしょう。

特に日本では他社でのスーパーチャージャー開放の話は出ていません、こちらが開放されることを約束されるなら、進展がありそうですがテスラジャパンがどう考えているか次第かなと思います。
テスラ社からすると今後のスーパーチャージャーv4から他社への利用も可能としていますが、日本ではまだまだv4の設置は進んでいないので、どうするか検討の必要がありそうですし、テスラ車を乗っておられる方はCAHdeMOユーザーへの開放を歓迎するか気になるところですね。

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