最近ちょっとしたことで噂になっているPowerXの充電器で充電を試してきました。
どういった状況なのかも含めてレポートしたいと思います。
噂になっているのは?
PowerXの充電器はCHAdeMO規格に対応した充電器になっており、この充電において一部車両でうまく充電できずエラーが出てしまい、しかも車両側で問題が発生してしまうという事象が出ているそうです。
PowerX社のニュースリリースにもこのような情報が・・・
一部の車両というのはテスラ社のようで、CHAdeMO変換アダプターを使って充電する場合に問題が発生しているようです。
そもそもCHAdeMO自体あまり互換性を担保しているものではなく、他社で利用した場合にうまくいかないことが多いようです。
以前にも記載しましたが、車両に標準で搭載しているCHAdeMOでも海外車種の場合、充電器によってはうまく充電ができなかったり、充電性能がMAXまで発揮できないことがあるようです。
このあたりはCHAdeMO協議会が頑張って、もっと互換性を高めて頂きたいですよね。
今回充電に訪れたのは?
今回は成田国際空港へお邪魔しました。
特に海外へ出かける用事もないのですが、充電するとどんな感じか試したくて行ってみました。
成田国際空港のP1駐車場にPowerXの充電器がありますが、立体駐車場の中にあるため、外からだとパッと見てもわかりません。
途中、誘導されている方に伺って無事到着しました。
充電無料キャンペーン実施中
さて、早速到着したわけですが、PowerX社の充電は専用アプリから実施します。
さらに今はTry!PowerXというキャンペーンを実施しており、充電料金が無料なのです。
アプリは下記から
結構大盤振る舞い中なので、ぜひこの機会に試してみるのもいいかと思います。
早速充電開始!
ということで、早速充電開始です。
既にアプリから予約していましたので、ケーブルを車両に接続します。
その後、アプリを開くとQRコードが表示されますので、これを充電ガンの近くにある読み取りを実施。
そうすると認証して充電開始でです。
到着した時は68%だったので、まだまだ余裕はあるものの充電開始です。
無事充電が始まりました。
やはり充電残量が多いので、出力的にはそれほど出ませんねー。
48.9kWなので、130A前後ですかねー。
とりあえず、30分の予約だったので、最長30分充電できます。
充電完了!
30分待ってもよかったんですが、まぁそこそこ入ればいいかなーということで様子を見に行くことに。
アプリで状況がリアルタイムでみることができるので、便利ですね。
充電完了5分ほど前ですが、86%まで回復したので、充電を切り上げます。
画像にある通り、チャージストップを押下します。
ということで、充電完了です。
25分で17kWh充電されました。
アプリの完了画面を見てみると・・・
はい、この通り、充電料金は「0円」でした!
いやー、これだけ充電したのにお得ですね!
充電も完了したので、車両を移動させます。
充電の使い勝手は?
PowerX社の充電は専用のアプリから予約→充電を実施できるものとなっており、非常に便利です。
予約も空きがあれば、充電器の近くで予約操作をすれば充電開始時間になれば利用可能です。
今回筆者も事前に充電予約をしてましたが、思ったより到着が早かったので、予約をキャンセルしたのちに再度予約を入れて充電を開始しました。
タイミングが合えば問題ないのですが、多少到着時間にブレが出てしまう場合は空き枠があればこんな感じでもいいかなと思います。
また、事前に予約しておけば確実に充電できるのもありがたいです。
一つだけ問題があるとすれば、充電器の駐車場自体はコーンは設置されているものの、ガソリン車も止めれなくはないので、最悪ガソリン車が止まってたら移動してもらう必要があるぐらいでしょうか。
PowerXの充電器は事業としてありなのか?
充電プロバイダーが増えること自体は歓迎されるべきことではあるものの、現状CHAdeMOの互換が非常に不安定なのも事実です。
これは逆にNACSが他社へ解放した場合どうなるかでしょうね。
事業自体は非常に考えられているので、今後展開される場合はお手本に近いモデルケースだと思います。
少なくともe-MobiltyPowerの苦労している部分をうまく補っていると思います。
ただ、この部分でも難しいのは「採算」というところでしょう。CHAdeMOは日本はスタンダードな規格ですが、世界を目にすると普及率は低い充電規格であり、今後はNACSが主流になる可能性も高いです。
NACS側も他社解放へ向けて準備しているので、ここにPowerXも相乗りできれば効果は大きいでしょう。
NACSの他社解放について
これは非常に懐疑的な部分が大きいです。
日本では他社解放する可能性が低いと筆者は見ています。
互換性の余地が低い
NACSの他社解放となった場合、現状車両についている充電規格として世界ではCCS1、2が主流です。
CHAdeMOは出力が現状でも150kWほどがMAXに近い状態で、NACSはV3なら250kW近くまで出力を許容しています。
これを考えると、他社へ解放しても出力が小さくメリットが少ないと言えます。
充電課金の仕組み
NACSは車両(テスラ)に搭載されている情報を読み取り課金をする仕組みです。
そのため、充電カードは不要となり、充電コネクタを指すだけで充電と課金が開始されます。
この仕組みを現在の日本の他社の車両でも実現しようとすると、車両側に課金するためのクレジットカード情報などを登録する必要がありますが、現状実装は難しいでしょう。
日産車両にはそういった機能はありません。今後販売される車両には搭載される可能性がありそうですが、現状は難しいでしょう。
また、テスラの充電器には課金認証装置はありません。これを別途取り付けることで可能になる可能性はありそうですが、V3までのスーパーチャージャーでは実装はされないと思われます。
可能性があるとすればV4チャージャーですが、日本展開は未定です。
仮にV4で可能になったとしても、現状のV3チャージャーをV4へ更改する可能性は低いと言えます。
テスラとしては、V3チャージャー機能で不足はなく車両側も250kW充電ほどの許容量で問題がないためです。
テスラの他社へ解放するメリット
はっきりいうと日本においてはありません。
海外では多種多様の車両が多いため、充電ネットワークを独占して課金する仕組みが整えばこれで売り上げを見込めることができるため、非常にメリットは高いと言えます。
つまり独占できるという強みと、他社へNACS採用を促すことにより、テスラとしては充電場所の確保も交渉しやすくなるでしょう。
日本にメリットがない最大の理由はNACS規格になってもCHAdeMOが一定数のこれだけの規模を独占しているとスーパーチャージャーのステーションをそれだけ作らないといけないということになります。
実は日本の充電ステーションの数は世界で見ても、かなりの規模があります。(土地面積あたりの充電器)
これは日産リーフが世界に先駆けてEVを世に出したことと、全国の日産ディーラーに急速充電器を設置したことが大きいと言えるでしょう。
スーパーチャージャーは出力が大きいので、こんな数のステーションは必要ないと思われがちですが、これはテスラ車両であればという条件付きです。
日本のEVはそこまで高出力に充電できる車両はありません。
日産アリアでも許容電力は130kWまでです。つまりテスラ車両の約半分の許容量ですね。
これではせっかくの充電器の性能が十分に活かしきれていないので、難しい問題ですね。
今後の充電プロバイダの展開について
さて、話は戻りますが、このように日本の充電プロバイダは今までe-MobilityPowerの1社だったものが、このように広がって行くことは競争原理が働き、活発化してより良くなることを期待できます。
また、充電料金についても競争原理で安くなる可能性はありますが、日本はほぼ国が電気料金を決める制度なので、価格はそこまで下がるかは微妙なところです。
(国が電気料金を認可制にしているため、上げるも下げるも国の判断次第です)
電力会社の各社も国への電気料金申請で許可された金額しか提示できないという何とも歪な制度なのが難しいですね。
インフラなのである程度仕方ないとしても民間会社とは思えない仕組みなので、本当はこういったところを政治家は変えてもらいたいところです。
しかしながら、今まで展開されなかった地域なども充電プロバイダが展開したり(ラストワンマイル)、充電に関わる仕組みがいろいろ出るといいですね!
これからも期待したいです!