Appleから日本時間9/10 AM2:00〜にiPhone17シリーズが発表されました。
機器としては「iPhone17」「iPhone Air」「iPhone17 Pro」「iPhone17 Pro MAX」のラインナップとなっています。
今回の大きな特徴は無印が各種アップデートされて、iPhone16 Proと同じような機能が搭載されました。
主なスペックは各種色々な媒体で取り上げていると思いますので、筆者としては「eSIM」のみとなったiPhoneはどういう問題があるのか解説していきたいと思います。
eSIMとは
eSIM(Embedded SIM)は今までの物理SIM(nano-SIM)と異なり、電子チップに内蔵されたSIMとなります。

通常は上記画像のような物理SIM(写真はnano-SIM)をSIMトレイに取り付けて電話番号などの通信キャリアの情報を読み込むような形になります。
eSIMはこの物理SIMではなく、電子扱いとなり、SIMデータを電子化し内蔵チップに読み込む形になりました。
電子化されたことで、物理スペースの確保やSIMの複製防止などメリットも多数あります。
eSIMによるメリットとデメリット
eSIMは電子化されたSIMのため、以下のようなメリットがあります。
メリット
・物理スペースの拡大
・SIM複製防止(物理SIMでも複製は難しいですが、電子化なので盗難防止になる)
・SIMの劣化や相性問題がない(物理SIMは抜き差しを繰り返すと劣化して認識しない場合があったり、SIMメーカーによる相性問題がある)
・SIM紛失リスクの低減(iPhone本体を紛失してもSIM情報を別の端末へ遠隔で移動できる)
上記のようなメリットがあり、基本的には電子化により遠隔対応などが大きな点だと思います。
ユーザーにもメリットがありますが、通信キャリアも物理SIMの調達が不要となるので、メリットがあると言えますがデメリットもあるので、みていきましょう。
デメリット
・機種変更や端末を変更する際に毎回eSIMの発行が必要になる(物理SIMならSIMの差し替えだけで対応可能)
・eSIMに対応した通信キャリアしか使えない(MVNOなど格安通信キャリアはeSIMに対応していないことが多い)
・通信キャリアのメンテナンス時間にeSIMの発行ができない(端末変更ができないなど、新規契約もできない)
・eSIMのプロファイル発行における2要素認証に問題点がある(後述で詳細を説明します)
・eSIMの再発行に手数料が必要になる場合がある(通信キャリアによって手数料が発生する、物理SIMなら差し替えだけなので費用はかからない)
・eSIM対応していない携帯に変更する場合、物理SIMへの変更が必要になる
eSIMの2要素認証とは
eSIMを利用するには通信キャリアのWebページからプロファイルデータをダウンロードして読み込むことにより利用可能となります。
プロファイルデータは他人にコピーされないようにするため、本人認証を厳格化し対応しています。
これが逆に問題となっている部分があります。
2要素認証といえば「電話番号におけるSMS」「通信キャリア回線に接続しての認証」という方法を日本では主に行なっており、本人確認を実施しています。
では、この何が問題か解説いたします。
SMSによる本人確認
SMSを使うことで、利用者本人か確認することになるのですが、これにも大きな問題点があります。
SMSを受け取りができる端末が必要になりますが、iPadのような機器に関してはSMSに対応しておらず、SMS認証ができません。
詳細は筆者の以前のブログをご確認ください。
また、現在利用している機器が故障などでSMSが受け取れないような状態になってしまうとeSIMを異なる端末へ移行することができない場合があります。
物理SIMならSIMを入れ替えれば使えたのに、このような問題点が出てきます。
通信キャリアに接続しての認証
MySoftbankなどの各通信キャリアにおけるWebページにアクセスして認証するシステムになります。
通信キャリアとして利用者本人か確認するには今使っている回線が自社回線を使って通信しているか確認することにしています。
これはWi-Fiなどを使って通信して認証できないようにし、現在利用している回線でセキュアな情報を確認しています。
(4Gや5Gで通信キャリアに通信するとIMSI(国際移動体加入者識別番号)情報を確認することができるので利用者本人を特定しています)
ただ、これも問題点があり、今ある端末が通信不良(故障)などが発生すると本人確認ができなくなり、eSIMの再発行ができない状態となります。
eSIMの発行が自身でできない場合の対処
これが非常に面倒なのですが、結局通信キャリアのショップに行く以外対応方法がありません。
ドコモであればドコモショップですし、ソフトバンクならソフトバンクショップに行ってショップでeSIMを再発行してもらうことになります。
ちなみに、MVNOでeSIMに対応しているキャリアで再発行してもらう場合はWebページから対応している場合とコールセンターで依頼して発行になりますが、MVNOによって対応はバラバラです。
つまり物理SIMに比べてトラブルが発生した際にショップ以外で対応ができないという問題が発生してしまいます。
(対応できるまでSIMによる通信が一切できないので、電話が使えないのは致命的かもしれません)
eSIMは便利なのか不便なのか
筆者としては現時点では不便と言えると思います。
とは言っても、これは日本の通信キャリアがeSIMの対応が不十分なだけで、今後もっとフレキシブルに対応できるようになれば利便性が向上し物理SIMより良くなる可能性もあると思います。
今回AppleがiPhoneをeSIMだけにすることで、各通信キャリアはeSIMの対応をもっと柔軟にしてくると思いますので、利便性が向上するのではないかと筆者は期待しています。
今までもiPhoneが対応することで、通信キャリアもそれに追従してきたことがいくつもあります。
(nano-SIMの対応、LTEの電波充実、RCSの対応など)
ただ、今回のeSIMは通信キャリアとしてユーザーとの根幹となる部分ですので、利便性が低いと顧客満足度が下がると考えられますし、何かしら対策をしてくると期待したいですね。
まとめ
大手通信キャリアはeSIMに対応しているから問題ありませんが、MVNOは対応していないキャリアが多いため今後どうしていくか気になるところです。
注意頂きたいのは、現在MVNOを利用されているユーザーはeSIMに対応しているかしっかり確認してからiPhone17シリーズを購入するようにしましょう。
iPhone17シリーズを購入してもMVNOが対応していなければ、iPhoneを使うことができませんので、ご注意ください。