eMPで急速充電器の設置が進んでいますが、複数基対応の急速充電器でダイナミックコントロールがうまく動作していないような現象が発生しています。
詳細について、記事にしたいと思います。
ダイナミックコントロールとは?
こちらは、CHAdeMO通信規格1.1に策定されて機能が実装されています。
このシステムはどういうものかと言いますと、充電器側から車両に対してリアルタイムに充電量の調整を要求する機能となります。
つまり、充電器側から出力いくつにするよという信号がくると車両もそれに対応して出力をリアルタイムで変更し受け入れるような仕組みです。
これにより複数の充電器を束ねた親機が指示を子機に出して、出力をコントロールするような形となっています。
ダイナミックコントロールに対応している車種は?
基本的に日産車は対応していることが多いです。
日産ARIYA、日産SAKURA、日産リーフが対応しています。
Honda eはダイナミックコントロールとは異なるところで不具合が起こっていた可能性があり、現在はサービスプログラムで解消しています。
このダイナミックコントロールに対応していないのはほんとんどが海外車両となっています。
特にテスラ車は独自のスーパーチャージャーを展開している関係もあってCHAdeMOとの通信がうまくいかないことが多いようです。
どういった状況なのか?
eMPのHPでも不具合情報が掲載されていますが、ダイナミックコントロール機能が有効に働かないため、ニチコン製の6基対応充電器で問題が発生して、90kW出力が出せないようです。
ニチコン製の6基対応急速充電器は20kWのコントローラーが10個搭載され、最大200kWまで対応可能です。
※1基あたりの最大出力値は90kWまで
これはダイナミックコントロールが対応していることで発揮できるのですが、対応していない場合はコントローラー最小の20kWまでの出力しか出せないようです。
そのため、テスラ車などはニチコン製のこちらの充電器で充電しても最小出力の20kW以下になるようです。
なぜこのような問題が発生するのか?
これはCHAdeMOの通信プロトコルの問題で発生しています。
CHAdeMOは急速充電の策定で認証されているものの、採用されている国は日本がメインで他国はCCS1,2やGB/Tなど乱立しています。
※CHAdeMO自体は世界統一規格で認証されています。
そのため、海外車両は自国の一番充電網として充実している規格を採用していることもあり、CHAdeMOの通信試験が弱いと考えられます。
また、CHAdeMOは他の充電規格と異なり、充放電ができるV2Xに対応していることも大きな違いになりそうです。
このような経緯から海外車両は日本のCHAdeMOでの動作確認がeMPとうまく連携できていないこともあり、CHAdeMO独自のダイナミックコントロール試験ができていないと考えられます。
今後の課題や展望は?
簡単に言うとeMP〜車両メーカーとの連携が一番の解決方法かと思います。
現状、車両メーカーは作るだけ、CHAdeMOのプロトコルが理論上動けばいいだけのように見えており、実試験がどこまでできているか怪しい状況です。
eMPもこういった新しい充電器が登場した際には、できるだけ海外メーカーも含めて動作検証を実施して頂きたいと思います。
充電器メーカーも協力が不可欠ですし、今後の電気自動車を販売していく中では重要な施策だと思います。
このままでは、販売したものの充電器不具合などで電気自動車や充電器に対して嫌な印象をユーザーに与えてしまい双方ブランドイメージに傷がついてしまいます。
特に海外車両が売れにくい日本市場において、逆にチャンスではないでしょうか。
筆者も含めて、まだまだ早熟な市場ではあるものの一定のリテラシーを持って電気自動車を利用しているわけですから、この時期に実施して全ての問題点の洗い出しを行い電気自動車の未来に繋げることが大切だと思いました。