日産サクラで急速充電を行った際の電池温度の上昇について、LeafSpyを用いて確認しました。
リーフと違って驚きの結果に!
急速充電の温度上昇とは?
電気自動車を運転されている方はご存知かと思いますが、急速充電を行うと普通充電とは異なり、高い電圧と電流でバッテリーを充電することになり、バッテリー温度が上昇してしまいます。
バッテリー温度が上昇するとどのような事象が発生するかと言いますと、車両側で充電電力の制御が入ってしまい、通常より少ない電力での充電しかできない状態となります。(50kWの出力充電器でも10kWとかしか出力されない状態)
これはバッテリー温度上昇によって、バッテリーに高負荷がかかり劣化を早めたりバッテリー故障の原因を防ぐためとなります。
こういった温度上昇を防止するため、最近の電気自動車(特にバッテリー容量が大きい車種)はバッテリーの温度調整機能がついています。
日産ARIYAは水冷式の温度調整システムがあるため、一定の温度になるとバッテリーを冷却するために動作します。
日産リーフと日産サクラの違い
さて、日産リーフと日産サクラの温度調整の違いとして、日産リーフは「空冷式(自然冷却)」を採用しており、日産サクラは「エアコン冷媒による冷却」を採用しています。
日産リーフは空冷式なので、外気温が高いとなかなかバッテリーが冷却されず、温度が高いままとなります。
そのため、連続して急速充電を行うとバッテリー温度がレッドゾーンに入ってしまい、急速充電を行っても車側で制御されて、充電電力が低くなってしまい充電が十分にできない状態になってしまいます。
しかし、日産サクラはエアコン冷媒による冷却機能があるため、バッテリー温度が40度を超えると動作しバッテリーを冷却する形となります。
TOP画像にもありますが、各バッテリーのセル部分には銅板があり、その横にある青い部分がエアコン冷媒によるものです。
実際どうなのか
では、実際に急速充電した時の動きをLeafSpyを見ながら解説していきます。
まず、充電前の状態です。
充電前は38%の残量となり、残りの航続可能距離は57kmです。
充電をはじめて約10分後です。
充電直後の電池温度などを計測したかったのですが、約10分後になってしまいました。
画像にある通り、充電電力は「17.7kW」でています。
充電温度はLeafSpyから「42.0度」となっています。
そして、A/Cと記載された部分ですが、40度を超えていますので、エアコンの冷媒機能が働き、バッテリーを冷却しています。
そして下記画像は充電完了時です。
最後は10.4kWで流れてまして、85%で充電完了しました。
充電完了時の温度は「43.6度」でした。右側のLeafSpyの画像は19時に撮ったものですが、充電時のグラフになります。(参考用)
そしてその約30分後の状態です。
なんとバッテリー温度が40.5度まで低下しているのです。
エアコンの冷媒機能が働いて、ちゃんと冷却しているんですね。
これはすごいこと
これは日産リーフを運転していた方ならびっくりすることだと思います。
日産リーフは走れば多少バッテリー温度は下がる傾向にありますが、これほどは下がりません。
せいぜい1度前後といったところです。
日産サクラはエアコンの冷媒機能が正しく機能している証拠ですね。これは次の急速充電器でも問題なく充電できることを示しており、充電の電力制御が入りにくいということです。
つまり長距離移動もバッテリーによる温度上昇を考慮しなくても大丈夫なわけです。
日産リーフの場合はバッテリー温度が上がってしまい、レッドゾーンに突入すると急速充電しても充電されないので、移動が難しい状態となります。
ただ、その場合でも1日車を動かさず涼しいところに置いておけばある程度バッテリー温度が回復しますので、また移動が可能となりますが、かなりのタイムロスとなりますね。
日産サクラでの長距離移動
結論から言うと可能です!
確かに充電回数は増えますが、80km~100kmごとに急速充電することができますので、移動はできる証明になりました。
ただ、当たり前ですが、バッテリー容量が20kWしかないので、一度の充電で移動できる距離は80km~100kmまでとなります。
日産ARIYAのようなバッテリー容量が大きい車であれば、高出力の充電器(90kW以上)で充電すれば、一度の充電で200km近い移動が可能となります。
日産ARIYAの電費は約6km/kWなので、90kW充電器で30分の急速充電で35kW以上充電できれば、それだけ移動できますね。
軽自動車なのに実は快適という日産サクラですが、これはもしかすると日産リーフより移動しやすいのかもしれません。
おまけとして、高速道路も軽自動車なら値段が安いので、お得かも?