KDDIで通信障害が発生
7/2未明からKDDIで大規模な通信障害が発生しました。
7/4 10:30現在でもまだ通信・通話が不安定なようです。KDDI公式発表では順次回復と伝えていますが、実際にはまだまだ不安定のようです。
詳細な経緯はケータイWatchさんがまとめて頂けるので、参照頂ければと思いますが、当ブログでは少し技術的なところを解説させていただこうと思います。
原因は?
7/3 11:00からKDDIにて記者会見を行い、今回の発生原因の説明がありました。
作業としての経緯としては以下となります。
コアルーターの交換作業
今回モバイルコア網と全国中継網(おそらくですが、CDN網に近いものでしょう)を接続するコアルーターの旧型から新型への取替作業を行っていました。
こちらの作業は以前も実施しており、おそらくですが設備更改の関係で順次実施していたものと思われます。
ところが、今回このコアルーターの取替作業を実施したところ、コアルーター内のDBに不一致が発生。
この不一致によりDBの処理が一時的にできなくなり、VoLTE交換機が輻輳状態に陥りました。
VoLTE交換機は50分に1回、移動機から交換機へ通信制御を行っているようです。
応答呼び出しと思われるのですが、正常に呼処理するための処置と思われます。
なぜこんなことを実施しているかというと、移動機(iPhone,Androidなど)は持ち歩いて移動されていると思います。
複数あるVoLTE交換機も一番ユーザから近いところで処理を実施した方がレスポンスが遅くならないように効率化しているためとなります。
通話は相手の声が遅延して聞こえると品質が悪いと感じるためです。
このように異常なほどトラフィック増加が発生してしまい、VoLTE処理ができなくなったと推測されます。
この影響を受けて、データー通信にも輻輳が発生となりました。
VoLTEはデータ通信を行って音声通話を実施しているためとなります。
2Gや3G回線の頃は音声通話は回線交換方式のため、このような事態にはならなかったと推測されます。
回線交換方式の場合、データ回線とは別に通話用のTrunk回線が用意されており、通話専用として各交換機を結んで呼処理を行っているためです。
3Gも後半はVoLTE処理に近い形で処理されたものは同じ現象が発生していた可能性がありますが、KDDIは他社と異なり、通話(音声)とデータは別で制御されていました。
これは、KDDIがcdmaOne(CDMA 1X WIN)という他社とは異なる通信・通話方式を採用してたためです。
補足ですが、docomoとSoftbankはW-CDMAという方式をとっており、通話(音声)とデータが一緒になっている4Gの先駆けの規格を使用していました。
なぜ切り戻しがうまくいかなかったのか
では、原因がわかったところで、切り戻しを行えば今回の事象はすぐに回復できたのでは?という推測ができると思います。
実際KDDIでもこのようにすぐ切り戻し(バックアウト)を行ったと考えられますが、回復しませんでした。
これには大きな問題が考えられます。
DB不一致の解消ができない
簡単に言うと移動機情報として保持してたルータの中のDBが正しくなくなり、新たにDBを作成しようにも輻輳してしまってDB更新ができない状態に陥った。
VoLTEの再接続要求を制御できなかった
これは推測になりますが、VoLTE交換機の呼処理規制を実施したものの、そもそも交換機事態が制御不能になっていた可能性が高く、制御できなかったのではないかと思われます。
コアルーターを交換しても正常動作しなかった
ここまで制御不能に陥ってしまった関係で、コアルーターを新しく交換しても期待した動きができずDB更新ができなかった。
これらは全て推測になりますので、全て復旧した後にKDDIから公式見解が発表されると思います。
復旧めどは?
順次復旧はしているようですが、DB更新が正常にならない限り通話はうまくいかないと思われます。
高橋社長もiPhoneとAndroidで動作のふるまいが異なると会見で述べられている通りで、対応に苦慮されているのではと思われます。
約3000万ユーザもいる事業者なので、相当な時間を要すると思われます。
早ければ7/10までには回復するのではないでしょうか。
ユーザ目線での対策は?
さて、これだけの大規模障害は今までの通信インフラの歴史では初ではないでしょうか。
ユーザの対策としては、1キャリアに縛られずに2キャリア以上の契約をお勧めします。
それだと料金が高い!とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、MVNOを利用して格安SIMでの運用でもよいと思います。
イオンモバイルやLINEMO、IIJmioなどおすすめできるものはいろいろあります。
気を付けなければならないのは、契約する際にご自身がメインで利用されているキャリアと異なるものを選択することです。
今回のように「au」がメインであれば、サブでLINEMOやイオンモバイルのドコモ回線を使うとよいでしょう。
またiPhone Xs以降はSIMとeSIMを使うことができます。
デュアルSIM構成として使用できますので、いつでもキャリアを切り替えることができますので、おすすめです。
日本ではAndroidのデュアルSIM対応がまだ少ないです。
iPhoneを利用されている方は一度見直されてもいいかもしれないですね。