日産アリアで90kW級の急速充電器で充電した際の注意事項を記載いたします。
50kW級充電器より高出力の充電器で充電する場合、どういった点に注意すべきが備忘録的に記載していきます。
高出力の充電器と出力の表記について
まず充電器の出力について、簡単に説明していきたいと思います。
充電器の出力は以下のような形の計算式で求めることができます。
A(アンペア) × V(ボルト) = kW(キロワット)
これで出力(kW)を求めることができるのですが、よく急速充電器で50kWや90kWと記載があります。
これは上限値を示しており、充電器の最大出力を示しています。
上限値と言うと、じゃそれだけ出力が出ないとおかしいじゃないか?と言う話になるわけですが、これは受け入れできる電気自動車によって変わってくることになります。
例えば新電元製の90kW急速充電器の仕様を見てみましょう。
こちらの注目頂きたいポイントは電圧と電流の箇所となります。
電圧は150V〜450Vで電流は0A〜200Aとなっています。
つまり先ほどの式に当てはめると、MAX値は450V × 200A = 90kWとなるわけです。
じゃ、日産アリアも90kWで受け入れできるかと言うとそうではありません。
諸元に記載がありますが、日産アリアのバッテリーは以下の仕様となっています。
総電圧352Vとなっており、電流は機器の受け入れ範囲として200Aは可能となります。
計算式で表記すると 352V × 200A = 70.4kWとなります。
ただ、電圧は変化するので、受け入れ量としては400V近くまで日産アリアは受け入れてます。
そう考えると日産アリアの場合、MAXでも 400V × 200A = 80kWが90KW級充電器の最大値と言えそうです。
ちなみに150kW級充電器の場合は350AまでMAX出力が許容されていますので、以下の式となります。
352V × 350A = 123.2kWとなります。
日産アリアの最大受電量は130kWになりますので、ここが限界値となりそうです。
実際に充電するとどうなるのか?
では、実際に90kW級の急速充電器で充電してみましょう。
電池残量が残り54%で充電を開始してみます。外気温は5度です。
充電を開始した直後の状況を見ると・・・
45kWしか出力されていません。
134Aほどしか出ていないわけです。これだと50kW出力の充電器と変わりませんね。
なぜこんなことが起こるかと言うと、電気自動車の特性とも言えるのですが「温度」と「電池残量」が関係してきます。
これはバッテリーを保護するためでもあるのですが、リチウムイオン電池は一般的に15度〜30度前後が最適と言われています。
https://consumer.huawei.com/jp/support/battery-charging/#:~:text=1)リチウムイオン電池は,20~45℃です%E3%80%82
電気自動車ではありませんが、HUAWEIのサイトも参考にリンクいたします。
つまり、熱すぎても寒すぎてもダメなんですね。
今回の場合は電池残量はそこそこ少ないのですが、気温が低いためバッテリー温度が低く、出力が出ていない状況でした。
電池残量をもっと減らしてチャレンジ
では、次に電池残量をもっと減らした状態でチャレンジしてみましょう。
電池残量を26%からスタートしたところ、最大出力である200Aがちゃんと出ましたね。
この時の外気温は7度でしたが、電池残量が少ないと電気自動車としては最大出力を受け入れるようです。
そしてこのまま30分充電すると、以下のような結果になりました。
なんと、30分で36.6kWhを充電することができました。
ほぼMAXの状態(約70kW〜75kW)で充電が30分続きました。
なかなか良い結果になったかなと思います。
日産アリアの電費は約5〜6km/kWhほどなので、今回の36.6kWhであれば183km〜219km回復したことになります。
これなら十分ですね。
電気自動車を知ることは電池の特性を知ると言うこと
誤解しないで頂きたいのは、電気自動車は面倒な乗り物だ!と言うことではなく、特性を把握して乗るものだと言うことです。
まず念頭において頂きたいのは、ガソリン車とは似て異なるものということです。
車というジャンルで見ると確かに同じですが、動力源もエネルギー源も異なる乗り物なわけです。
それを同一にしてはダメで、それぞれ特性があることを理解頂くことが大切です。
ガソリン車に対しても電気自動車と異なるところはいっぱいあるわけです。
例えばガソリン車はエンジンオイルの交換が必要になります。これはエンジンを動かすために必要なものであり、定期的に交換が必要ですね。
電気自動車にはオイル交換が不要になります。これ電気自動車から見れば面倒なことですよね。
(オイル交換しないとエンジンがダメになりますし、定期的に必要な作業ですよね。)
電気自動車も充電という特性があり、一番良い充電はどういうタイミングになるかということですね。
条件が揃えば、一番効率が良い充電ができるということですね。
こういった特性を踏まえて、電気自動車とお付き合いしていくと理解が深まると思います。
電気自動車は結局面倒なの?
これはそれぞれのライフスタイルと運用によるものと思います。
例えば、自宅充電がメインの方でそれほど遠出もせず、出かける範囲も大体決まっている方は上記のような急速充電器を使うことも少なく、考慮する必要もあまりないでしょう。
また、通勤などで使う方で距離もそこそこな方は急速充電を使うこともあり、上記のようなことを心配されることがあったとしても、実際には必要な距離分が回復すればいいわけなので、そこまで気になるわけではないと思います。
45kW出力でも30分で20kWh前後回復するので100kmは走行できるため、そこまで問題ではないと思います。
筆者のライフスタイルはたまに長距離、基本は近場がほとんどのため、困ることは早々ありません。
また、自宅にも充電器(V2H)があるため、長距離移動の場合は前日に100%近くまで充電すれば、ほとんど移動に困ることもなく運用できています。
電気プランとしても、まちエネの充電し放題プランを契約しており、毎晩1時〜5時まで充電していますので、ほぼ充電忘れも少ないです。
まちエネの詳細は以下のページでも説明しています。
こういった形で特性を知れば、問題なく運用できると思います。
ガソリン車と異なり、最初にちょこっとこんな感じで電気自動車を知ることでもっと素敵な電気自動車ライフをおくることができると思います。
電気代節約もできることが多いと思いますので、ぜひこれからも電気自動車の特性を理解して運用していければと思います。