当ブログでもたびたび登場しているV2Hという言葉ですが、これは一体どういうものか説明したいと思います。
V2Hとは一体何?
V2Hとはビークルトゥホーム(Vehicle to Home)という名称でEVやPHEVにある走行用バッテリーの電気を取り出したり、充電することができる機器の総称となります。
基本的には一戸建て住宅を対象にしており、住宅の分電盤にV2H用のものを新たに取り付けて電気の流れをV2H経由にするような形となります。
商用電源(東京電力など)〜V2H分電盤〜住宅分電盤
このように間に挟む形となります。
どういうメリットがあるの?
最大のメリットですが、電気自動車から電気を取り出したり、商用電源(東京電力など)から充電することができるということです。
なぜこれがメリットになるかと言いますと「停電」した時に、電気自動車から電気を取り出すことができるので、停電しても普段生活している環境と変わらない状態にできるということです。
冷蔵庫も使えますし、エアコンも使えるので、冷凍食品の溶ける心配や夏は冷房が使えるので熱中症も回避できると思います。
よく勘違いされる方がいらっしゃるのですが、「ガス給湯器」は停電時に使用することができません。
これは給湯器に電気が通電していないとお湯を沸かすことができないためです。
※ガス給湯器を見るとわかりますが、電源コンセントがささっていると思います。
そのため、ガス自体は供給されている状態でも停電時はお湯を沸かすことができないのです。
ガスコンロは使えなくはないですが、レンジフード(換気扇)が停電時動かないので、二酸化中毒などの可能性もあり注意が必要です。
何かしら換気できる状態でご利用下さい。
水道は利用可能ですが、停電している場合、水道局側のポンプ(水道水を制御している大元)が停止しているともちろん利用不可です。
これはどうしようもないので、電気が復旧するのを待つしかないですね。
太陽光発電との併用は?
結論から言いますと可能です。
しかも太陽光発電とV2Hは非常に相性が良く、さらにメリットが増大します。
太陽光発電があれば、太陽光で発電した電力を電気自動車へ充電することができるのですが、停電時でも太陽光があれば電気自動車へ充電ができ、夜間に電気自動車から電気を取り出して自宅に電気を供給することができるようになります。
イメージとして、ニチコンHPで紹介している画像を引用させていただきます。
上記画像の通り、平常時は特に何も変わらないですが、停電時(東京電力からの買電が絶たれた場合)は太陽光発電からV2H機器を通して電気自動車へ充電することができます。
また、電気自動車から自宅へ給電することも可能となり、自宅で不自由なく電気を使うことが可能となります。
なお、注意点ですが、停電時に太陽光からの充電は機器によっては対応していない場合もあります。
いいことばっかりに見えるけど、デメリットは?
デメリットはズバリ2点です。
価格
V2Hですが、価格がそれなりという点になります。
ニチコンからスタンダードモデルが販売されて、かなりハードルが下がりましたが、それでもまだまだ価格が高いものとなります。
下記の価格は2022年8月8日現在のものとなります。
本体価格 (工事費別) | 保証期間 | 補足 | |
スタンダードモデル 3.7mケーブル VCG-663CN3 | 498,000円 | 2年保証 | 停電時、太陽光からの余剰電力で充電ができない |
スタンダードモデル 7.5mケーブル VCG-663CN7 | 548,000円 | 2年保証 | 停電時、太陽光からの余剰電力で充電ができない |
プレミアムモデル VCG-666CN7 | 798,000円 | 5年保証 |
取付できる人が限られている
そもそもV2Hを取付できる住宅は「一戸建て」がほとんどです。
集合住宅でもできなくはないですが、ほぼ無理と考えていいと思います。
また、一戸建てであったとしても、駐車場の状況や分電盤の状況によっては取付ができない場合もあります。
具体的には自宅〜駐車場が離れていて、分電盤までケーブルが届かない(配線工事が別途必要で大掛かり)
太陽光発電との連携を考えていたが、太陽光発電の機器が古いため、V2H機器と連携できない など
この大きな2点をクリアしないと取付できないのが、現状の最大のデメリットになっていると思います。
どういった機種があるの?メーカーは?
V2Hとしてのパイオニアは「ニチコン」になります。
現在V2Hを展開しているメーカーは少なく、市場のほとんどがニチコンになっている現状です。(2022年8月8日時点)
ニチコンのOEMとしてDENSOぐらいで、以前は三菱からも販売されていましたが撤退してしまいました。
ニチコンでは「EV PowerStation」として展開されています。
導入するには?
導入にあたっては地域の電気屋さんやJMに依頼となります。
JMは全国展開しているV2Hの指定工事会社です。
ニチコンへ連絡しても指定工事会社の案内がされるので、お住まいの地域の指定工事会社さん経由での対応となります。
気になる方は日産ディーラーに相談頂くのもひとつの方法となります。
注意点ですが、各ご家庭で分電盤の位置や設置場所が異なったり、太陽光発電を所有しているかなどで工事内容が変わってきます。
そのため、複数社に見積もりを依頼して工事頂く方が適正な価格判断ができると思います。
また、安いという理由だけで工事会社を決めるのもご注意下さい。
充電にあたって最大6kWhを使用することになり、配線状況によっては火災などの原因にもなりえます。
施工経験のある工事会社を確認したりして、十分に注意頂いた方が良いと思います。
あとがき
筆者の自宅にもV2Hを導入しておりますので、次回のV2Hについては自宅の使用状況についてレポートさせて頂きたいと思います!