e-MobilityPower(以下eMP)から少し前に発表されていたのですが、新しい充電器のお話がありましたので、記事にまとめていきます。
eMPのHPで詳細は発表されているので、リンクも貼っておきます。
赤いマルチと青いマルチとは?
最近設置が進んできている、eMPの多口数の急速充電器になります。
青いマルチコネクタが現在展開されているモデルとなっており、主にPA/SAに設置されている急速充電器となります。
画像は浜松SAにある青いマルチコネクタ 6基モデルとなります。
青いマルチコネクタは大黒PAに設置されたのを皮切りに、他のPA/SAでも設置・展開されました。
青いマルチコネクタ
200kWまで対応した多数の口があるマルチコネクタです。
200kWまで対応といっても実際は1口あたりの充電出力は90kWまでとなっており、90kW出力は最大15分間のブースト設定となっています。
出力制御機能(ダイナミックコントロール)に対応しており、複数口のコネクタに接続された車両数に応じて充電出力が変化する仕組みを採用しています。
ただ、青いマルチコネクタには色々問題があるので、後で説明していきます。
赤いマルチコネクタ
赤いマルチコネクタの最大の違いは充電出力です。
400kWまで対応した多数の口があるマルチコネクタです。
400kWまで対応していますが、1口の最大出力は150kWまでとなっています。青いマルチコネクタと同様にダイナミックコントロール対応ですが、総出力が上がったため、充電出力が4台同時でも90kW出力可能となっています。
多口数コネクタの利点
・口数が多いため、充電渋滞が起きにくい。
これが最大の利点であり、大きな進展となりました。
・充電出力が従来より大きい
最大で90kWまで対応しているものの、少し問題点もありますので、欠点の方で説明いたします。
多口数コネクタの欠点
・充電出力の制御
今回初めての試みとなる、出力制御機能(ダイナミックコントロール)に対応したものの、こちらのシステムにトラブルが色々あり、テスラやi-MEiVなどはダイナミックコントロールに対応しておらず最低出力の20kWしか出ないようです。
また、後から来たEVが充電すると最初に充電していた車両の充電電力が分けられてしまい出力がかなり低下してしまう仕様で非常に問題がありました。
赤いマルチコネクタでは最低20kWだったのが60kWに改善される予定です。
このように後から来た車両の方が充電出力が高いという謎仕様になっているのですが、eMPの思惑としては1台目が充電されてから時間をおいて2台目以降が来て充電を開始するので、15分間のブーストモードも終了していることを前提にこのような設計になっているのかも知れません。
ただ、そうだとしても先に充電されている方が割を食う設計はどうかなと思いますので、当初はかなり話題にあがりました。
解決に向けてeMPも取り組んでいるようですが、最終的には厳しいようで赤いマルチで解決を図るようです。
設置場所の問題
複数口となり充電渋滞が解消されることが期待されたわけですが、やはり複数口となるとそれだけ駐車して充電できるスペースが必要となってきます。
PA/SAの限られたスペースを有効活用しようとするとなかなか難しい部分もあり、広いスペースがあるPA/SAであれば問題はありませんが、狭い場所の場合は工夫して設置となりそうです。
ただ、大黒PAなどの場合、一度充電すると逆走になってしまい、通常の駐車スペースに車を移動することができなくなり本線に戻らざるをえない状況となります。
こういった問題は別途どうするか解決する必要があるので、NEXCOと取り組んで頂きたいですね。
また、PA/SA以外では道の駅などに設置される形となりそうですが、ここでも同じでスペースの問題が出てきそうです。
赤いマルチコネクタで問題解消?
ある程度の問題は充電出力が上がったことで解消できるようになりましたが、青いマルチコネクタを中途半端な状況で稼働してしまったことで、混乱が色々発生してしまいました。
今回の赤いマルチコネクタはこういった問題点の解消をはかったことは良いとは思いますが、元から赤いマルチコネクタを出しておけばそこまで問題にはならなかったのかなと思います。
(逆に青いマルチコネクタが出たからこそ、ダイナミックコントロールの問題が発見できたという見方もできますが・・・)
青いマルチコネクタもバージョンアップを行い、赤いマルチコネクタと同様の出力になれば今の問題点は解消されてより良いものになりそうです。
ただ、150kWでも筆者は出力が足りてないと思っており、最大300kW対応ぐらいは必要ではないかと考えています。
というのも、今後の5年〜10年と見据えた場合、今の出力では遅いと感じる車両が多数出てくる可能性があります。
特に5年〜10年後には全固体電池が搭載された電気自動車も登場すれば高出力を必要となるでしょう。
日産のこちらの記事にもある通り、急速充電時間を短縮するとありますが、今の充電出力では難しいと思います。
どちらにしても、今後は多様な急速充電器が色々登場して、電気自動車が便利に活用できると嬉しいですね。
eMPさん今後も頑張ってください!